10月30日(月)曇り 午前4時起床 デンマーク・コペンハーゲン市

  昨晩は雨模様、路面はびっしょりぬれている。6時半に朝食をとり、ホテルの回りを約1時間かけて散策。コペンハーゲン駅、チボリ公園、早朝作業のごみ収集業者に何度も会う。写真を撮らせていただく。10時にコペンハーゲンの臨海部のはずれに位置するKaerboケアセンターに到着。ふつうの高層ビルのたたずまいである。ここで、施設長よりレクチュアを受ける。

デンマークの福祉
<Kaerboケアセンター見学>
  デンマークの置かれている高齢者福祉の考え方が垣間見えた視察であった。説明と案内は、ウルバンストロンクリームさん、7年ほど前に、時の村山首相が訪問し日本に一躍名をとどろかせた施設の責任者である。彼女はスウェーデン人で、ヨーロッパ各国 特にイタリアで高齢者福祉に携わったが、デンマークの福祉政策がナンバーワンだという。
 その理由はいくつかあるが、医療と介護をきっちり分けて制度化していること。医療について最近、日本の厚生省が言い出したホームドクター制度と病院との位置づけが決まっている。(おそらく厚生省はこれを見本にしている)病院は2次医療として位置づけられ、かかりつけ医(ホームドクター)からの紹介で病院へ入ることができる。従って国民一人一人にドクターがいて、移転した時に初めて、個人カルテが新しいところに回ってくる。地域ごとに決められたドクターが、地域医師会から派遣される制度になっている。そして、ホームドクターが所見を書き、介護ケアーセンターか病院か振り分け、最終的には市の判定委員会が決定するシステムになっている。この場合、本人の意思が尊重される。自己決定権という表現が何回か説明の中で示された。
 ケアセンターの概要を紹介する。コペンハーゲンの市街地から郊外に20分程度の閑静な住宅街に10階建ての民間住宅を建設会社が建て、これを市が借り受けをする。そして運営はすべて市が行う。
 現在入所者53人、平均84歳、夫婦は2組、全員個室、1人40平方メートル、6畳ダイニング、6畳ベッドルーム、3畳トイレ・シャワー このうち1人だけが若年の障害者(知的・身体障害)という。同僚議員より寝たきり老人はいますかという質問にすかさず、施設長よりデンマークには寝たきり老人はいません、との答え。寝たきりにさせないというのが、国の方針なのだそうである。
 受け入れの体制というと、入所者1人に対して職員比率0.7人、この中には事務職・清掃・リハビリも含む全員が市職員。人手が足りないと加配が認められ、15人加配があると職員比率0.92人となる。総勢70人が働いており多くがパートタイマーだそうである。
 問題がないわけではない。ヘルパーは1〜2年で資格が取れる。したがって、ステータスが低い。なかなかヘルパーのなり手が見つからないといった悪循環が生まれている。年間、市から2億円弱が補助され、そのうち90%が人件費という。仮に入所を希望すると手続きは市に申し込む。市は判定委員会にかけるが、入所が決まって3ヶ月後にケアセンターに入居できる。入居費は3食食事代・部屋代・介護サービス料しめて6万円弱。
 最後に、デンマークの社会制度を示しておこう。年金というのは、保険型(積立型)ではない。税率が大変高い。国税20%、県税10%、市税20%、1人平均所得の51.4%が税金。このため、年金は40年デンマークに居住すればいただけるシステムになっている。30年以上だと満額の3/4、20年以上だと1/2となっている。これにもれた人は生活保護となっている。話をきていて、これでは働く意欲がなくなるという意見が出たが、20歳台の若人にアンケートをしたら、高福祉高負担は60%以上の若人に支持されているとのことである。
 もう一つ特筆すべきはデンマークは18歳をすぎると親の扶養義務はなくなる。もちろん子供が親の面倒を見なければならないという慣習はない。この辺り、文化的価値観が違う訳で、施設長は結論で、生活制度が違う日本でも高齢者の問題は共通である、今日の見学が何かのヒントになればと結んだ。引き続き、日本型ケアセンター・介護問題を深めていきたいと考えている。
 この日は、午後3時20分コペンハーゲンを発って、フランス ニース空港に向かう。ニースからカンヌまで約1時間、この日午後5時から降り始めた激しい雨の中、カンヌに到着した。
10月29日へ    10月31日へ