11月2日(木)晴れ 6時起床 ドイツ・フランクフルト市

インターコンチネンタルホテルで

 フランクフルトの朝はまだ明けない。同僚の潮田議員と「歩こう会」を始めることにした。約1時間近く、フランクフルト空港の内を3周ほどする。汗もびっしょりになり体調を整えるにはもってこい。さて10時より別名バンクフルトと呼ばれる金融街のど真ん中、ドイツ中央銀行のすぐ近くにあるインターコンチネンタルホテルでEU(欧州連合)についてレクチュアーを受ける。講師は、新井良平さん、現地20年在住の調査会社代表取締役である。伺うところによれば、32年前に県立川崎高校を受験したとか、縁のある方である。
<何故ヨーロッパの統合なのか>
 ヨーロッパ大陸の歴史は戦争の歴史であった。古代から近代そして現代まで、そしてこの20世紀にドイツとフランスは2回の大戦を行った。この統括からドイツとフランスは何としてもヨーロッパの平和に向けて、戦争の目的であり、手段であった石炭と鉄を両国で共同管理すれば二度と戦うことはなかろうというのが統合の発想であった。もう一つは、戦後強大なアメリカ資本と焼け跡から奇跡の復興をとげた日本経済の脅威だった。
 ヨーロッパの統合は戦争への反省が生み、経済競争が育てたといっても過言ではない。とはいえ、いまのEUが統合をこれ以上進める理由をさがしあぐねているのも事実である。2002年、統一通貨「ユーロ」の導入までは、まがりなりにも合理性があるが、そこから先は各国の主権に深く入り込む政治統合の世界に移っていく。
 今、圧倒的にヨーロッパでは社会民主主義政権が各国をリードしている。フランス・ドイツ・北欧など、この流れは安定的だ。従って優位性もあるが国境を越えた犯罪に立ち向かう司法協力、国際社会に於けるEUとしての共通外交、何よりも国内の税率のアンバランス(所得税、法人税)など検討すべき課題は山積している。
<EU(欧州連合)のしくみ>
 EUが国連などと大きく違うのは加盟国から国家主権の一部を譲り受け、それ自体が超国家的な権限を持つことだ。例えば日米などの通商交渉。個々の国に出る幕はなく、EU代表が交渉テーブルにつく。EUの方針は20人の委員でつくる欧州委員会が提案する。この提案を審議し決定するのは加盟国の大臣が集まる閣僚理事会と各国から直接選挙で選ばれた欧州議会。その決定に沿って加盟国は国内法を決め、共通政策に従う。EUの運営ルールはいくつかの条約で決められている。なかでも欧州共同体(EU)設立条約と欧州連合条約(マーストリヒト条約)の二つは欧州の憲法にあたる。
 一番新しいアムステルダム条約はこの二つの条約を改正するための条約だ。更に今年12月に首脳会議(フランス、ニース)で合意する「ニース条約」はこれからの欧州統合の行方を左右し、世界経済や国際政治に影響を与えるものになる。
 今回のニース条約では、先のアムステルダム条約で決まった「先行統合」の条件を緩和して、全会一致ではなく過半数にする。ニース条約で先行統合が進めやすくなれば、創設6カ国を軸にどの分野でも先行するグループが生まれそうだ。イギリスやデンマークのように、ユーロで出遅れた国は更に発言力が弱まりそうだ。
<EU統合によって何が変わるか>
 まず従来の域内各国の関税障壁がなくなり、人・物の流れが活性化される。次に各国内の為替の変動によるコストがなくなり、諸国間の輸出入の価格が安定してくる。加えてこれまで独占的であった品目に競争が導入され、物価が安くなるというのが市場に於ける積極的側面である。特にユーロ圏では企業の吸収合併グループ化が始まっている。日本ではシステムが難しくグループ化が進んでいないホテル産業などでは巨大な国際企業が生まれようとしている。
 次に産業が益々、各国間で分業化してくる。例えば農業はベネルクス3国、薬品化学系・機械系はドイツ、武器産業系は旧コメコンという風に特化し、それぞれの国の分業が始まる。
 もう一つは企業の本社を税制優遇国へ移動することになる。当然安価な労働力を求めて生産拠点の移動も始まる。こうしたことを統合のメリットとして打ち出している。
<EUの今後>
 ドイツ、フランス、オランダやベルギーなどはもともと統合の深まりを追い求める傾向が強い。あとからは入った国でもEUの補助金に頼る南欧やアイルランドは統合への忠誠心が強い。これに対しイギリスやデンマークなどは国家主権がこれ以上EUに吸い取られるのを好まない。統合はせいぜいユーロどまりにして、あとは東に拡大して大市場の効能を高めればいいという思いである。
 これに旧コメコンといわれたチェコ・スロバキア・ハンガリー・ルーマニアなど東欧諸国と宗教の違うトルコが加入を希望し交渉に入っている。15カ国でも先程のように決定の仕組みを見直そうとしている。これが倍の勢力になったら一体どうなるのか前途多難である。日本にとってもEUは大変な脅威となることは間違いない。
 すでにEUの市場に向け日本企業の進出は始まっている。横浜市はハンブルグにヨーロッパの出張所を開設したそうだ。川崎市もドイツには友好都市としてザルツブルグがある。そろそろヨーロッパに窓口を開くことも一計と考える。
 日本食の昼食をとった後、一行はアウトバーンを利用して、フランクフルトから100km離れた古都ハイデルベルクへと向かう。「アルテ(オールド)ハイデルベルク」街全体が大学という趣があり、中世のヨーロッパがそのまま残る。ハイデルベルク大学のトレーナーを売っている店に入って、トレーナーを見せてもらえないかと英語で頼むと初老の主人がちょっと待てと手でとめて、英語の解る息子とおぼしき青年を呼びに行ってくれる。気に入った色のサイズがなくて結局商談は成立しなかったが、こちらの人々はなかなかゆったりしている。できれば1,2泊してゆっくり見学したい街である。さて、ハイデルベルク市の人口は14万人、その殆どが大学関連で生計を立てている。日本でいえば神田お茶の水といった風である。この大学より1km程離れた所にコンポスト工場は位置する。閑静な住宅街がすぎると「クラインガルテン」(英語Small Garden)が広がる。周囲を緑に囲まれてコンポスト工場はある。どうしても臭気の問題は解決できないようで、工場敷地に入っていくと清掃工場独特のにおいが漂う。
 私たちを迎えに出てくれたのがサントマイヤー所長、この施設は10年前までは焼却炉をもった清掃工場であったが、焼却炉を閉鎖、現在はコンポスト工場へと変わろうとしている。
ハイデルベルクコンポスト工場 サントマイヤー所長の説明

<とり組みの経過と現状>
 ハイデルベルグ市は14万人の人口の自治体である。10年前までこの工場は焼却部門が中心であったが閉鎖し、広域的一部事務組合ラインネッカー目的ごみ連盟(ZARN)を設立、マンハイム市にある4つの焼却炉を持つ焼却工場と機能を分担する事になった。
 今回見学いただく工場は、4年前に完成したもので年間3万5千トンの台所等の生ごみを処理、50%が肥料としてアウトプットされている。
<ハイデルベルグ市のごみに対する考え方>
  1. ごみを出さないようにつとめる。
  2. ごみの再利用をすすめる。
  3. 結果として出されたごみを処理する。
<ハイデルベルク市のシステムについて>
 具体的には収集容器を家庭においてもらい、これを有料で回収するシステムになっている。(週1回指定区域毎)従来、容器が一杯になろうが半分でも同じ料金だった。しかし、更に減量化をすすめるために料金体系を細分化した。
  ・1週間に1回ごみを出す家庭        700マルク/年
  ・2週間に1回ごみを出す家庭        400マルク/年
  ・ヴァンデロアー(シール)を貼って出す家庭 1枚につき10マルク
 戸建てが7割、あとはシールを貼って指定日に出すシステムになっている。国が進めているデュアルサービスドイツ(DSD)とは、ガラス・紙・包装紙の回収は後でDSDより委託費として支払われる。

<ゴミの種類>
  ・台所生ゴミ
  ・ガラスと紙ゴミ
  ・包装材プラ
  ・その他ゴミ
  安い料金、宅収集
  無料、指定ボックス(DSDより委託)
  無料、指定ボックス(DSDより委託)
  安い料金か無料
<これからのごみの種類別比率>
  台所生ゴミ
  ガラス
  紙ごみ
  焼却工場
  残
  20%
  10%
  20%
  40%
  10%
<ゴミの排出量

<肥料になった後処理について>
  @ワイン農家の肥料
  A近隣の市民農園
  Bすべて無料でさしあげている
  C処理コスト 280マルク/t   焼却650マルク/t
<ごみ処理の運営主体>
周辺自治体との共同(広域的一部事務組合)を設立。それぞれ機能分担。
  ・ マンハイム市   31万人 3つの焼却炉に新炉建設計4炉
  ・ ハイデルベルク市 14万人 炉閉鎖、コンポスト工場
  ・ ラインネッカー郡 51万人 焼却残灰埋め立て、不燃物処理
   ラインネッカー目的ごみ連盟(ZARN)

<コンポスト工場の処理工程>

<コンポスト工場の処理体系>
8名  4名 2班 2交代制 24時間通年稼働
現在ドイツでは、週38.5時間
<課題>
 消臭対策
  @上から水をシャワー状にして消す。
  A木の根を使った土壌浄化方法
メタンガス化しない為に、焼却方法はとっていない。

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