11月3日(金)曇り ドイツ・ベルリン市

 昨日につづき、潮田さんと6時30分に待ち合わせて、フランクフルト空港内を約1時間散策する。一周すると約20分,三周すると警備員もけげんそうな顔つきでじっと我々を見ているようだ。真っ暗な外の道よりもかえって安心だし、何よりも雨にぬれずホテルシエラトンフランクフルトと連結しているのが嬉しい。朝食をしっかりとり、午前10時35分発のルフトハンザLH1694便で空路ベルリンと発った。
 ここで大失態。すでにバッゲージはパッキングしてあった。ズボンを1本ハンガーから落として洋服ダンスに入れたまま出てしまった。どうも上着とズボンの模様が合わない。でも恐らくスーツケースに入っているだろうと安心して、ベルリンでケースを開けると、置き忘れに気づいたという次第である。(後日談―旅行会社のフランクフルト駐在員がホテルに取りに行き、AIRMAILで日本交通公社川崎支店に送っていただき、11月20日には私の手元に届いた。愛着のあるズボンとなった。改めて、旅行会社の皆さんに感謝したい。)
 いよいよ、最終訪問地ベルリンに到着。昼食はベルリン市役所地下食堂でとる。食事をしていると、一人の老人が私たちの席にくる。通訳を交えてお話を聞く。「あなた方は日本人ではないか。なつかしくて声をかけた。現在76歳。年金生活者であるが、若い頃は日本へも行ったことがある。日本とドイツは同盟国で仲が良かった。ぜひドイツを楽しんでほしい。」という親日家の出現に、我々の席は喜びに湧いた。私は戦争を賛美するつもりはないが、こうして市井の人が日本人をなつかしみ、声をかけてくる、かつて日本とドイツは同盟国だったとか言われると胸に熱いものがこみ上げてきた。民衆レベルのところでは、一体感があったのかなという思いで納得した。
 さて、もう一つの環境をテーマとした視察を行うため、午後よりGOK環境会社を訪問した。
<GOK産業廃棄物工場>
 ベルリン市の臨海部に大規模な清掃工場が位置する。周辺には週末と見えて、様々な車種の清掃車が駐車している。この一角に、これから視察をしようとするGOK(環境エンジニアリングコンサルティング会社)はあった。カエルをトレードマークとしたこの会社は創立10年、スタッフは極めて若い。
 20年前にKEGという親会社が設立され、GOKは医療系廃棄物の処理と環境コンサルタント業を専業とする子会社。現在、従業員は53人、私達を案内してくれたジャン・ゲルト・クーリング氏は32歳、エンジニアリングチームマネージャーだという。この会社は、病院の医療系廃棄物の収集とレントゲンの現像(ラボラトリー)によって生じる水銀の多量排出に注目した。具体的に言えば、従来焼却処分に回されていた医療系廃棄物のリサイクル・リユースと水銀から銀を摘出することによって、ごみのバランスシートを転換することを目指した。
 病院から排出されるごみの組成を次のように分解した。
<病院のごみの組成図>

トレードマークのカエル

 つまり、この43%のごみのリサイクルによって減量化と再製品化に成功した。今や個々の病院に於けるごみ処理にとどまらずいよいよ患者の輸送に着手、またドイツの国内法で定められている医療系廃棄物管理士の資格をもったコンサルタントを大病院に派遣、常駐することも行っている。ドイツでは最も古くて大きなフンボルト大学付属チャリティ病院(5,000床)にもコンサルタントを派遣し、減量の成果を上げている。

有毒を示すドクロマークのシール
(廃棄物のコンテナーに貼付する)

 GOKの総合的ごみ処理の理念は原量処理とごみ処理を環流させて、低コストに抑えるところにあるという。もう一つ、GOKが着目したのは、レントゲンの現像液の廃液から生じる水銀を銀と水に分解する処理である。1tの廃液から3kgの銀が析出する。GOKは1年間で2,500tを処理するので7tの銀が産み出される。これが、GOKの収入の半ばを占めているという。
 ひととおり、レクチュアを受けた後、工場を見学した。もうすでに、4時を回っていたので外は暗く、ドイツの夕暮れは早い。従業員が数名、現像廃液を運んでいたが、作業服と安全靴の軽装さには驚かされた。事故で有毒液をかぶった時のシャワーなどもあったが、危険物に対する取り扱いなどちょっと心配の部分もあった。恐らく国内法の規制が日本と違うのかと思ったが、専門家に教えを乞いたいと思っている。
 熱心な見学のために、時間はとうに5時30分を回っていた。若い従業員は残業で、まだ仕事中の人もいる。こういう風景を見るとこの国も勤勉な国民性であり恐らく日本経済の良きライバルになっているのかなと実感した。

11月2日へ    11月4日へ