10月19日(水)
<アジア視察団元気に出発第1日目 夜は露木団員の誕生会盛り上がる>


 羽田空港に市議会アジア4か国視察団15名が勢ぞろいする。今回の視察団は坂本茂団長が統括、私が副団長として補佐する。ANA857便ハノイへ向かう。出発予定時間は8:55であるが、おおよそ10時近くになって離陸。
 飛行時間は約3時間かかって、北ベトナムのかつての首都ハノイに到着する。
 通訳・随行のロンさんは日本語がうまい。ベトナムの日本語科を卒業、日本留学経験はないという。
 この日は移動にほぼ時間を要し、夜は食事を兼ねて、本日○○才の誕生日を迎えた露木明美さんの誕生会で盛り上がる。

10月20日(木)
<視察1日目ベトナム2番目の取り扱い港ハイフォン港
     〜日通ハイフォンロジスティックセンター〜ハイフォン工業団地>

ディンブー港夜景

 ようやく公務である視察が始まる。まずハイフォン港を訪問。ハイフォン港はベトナムで2番目の港。ホーチミン港の年間取扱高1500万トンに次いで360万トン。
 同港を運営するのは、“DinhVu Port”(DVPディンブー港)ターミナル会社である。川崎で言えば、横浜・川崎港運営会社である。
 同港は12の港から構成される河川港である。今回視察したディングー港(DVP)が最も大きい取扱量。このうち最大のコンテナを保有する船会社“SITC”の駐在員稲田勝一氏から詳しい話を聞く。SITCは川崎港へ定期便を就航している。荷主はニトリである。SITCの戦略は、北ベトナムにあるニトリの生産拠点に近い港と日本特に川崎との定期航路の整備にある。
 しかしポイントは2018年のアセアン(ASEAN)域内関税撤廃に関わっていると指摘する。
つまり、関税障壁が解消することにより、これまで生産拠点を東南アジアに移していた日本企業が果たしてひきつづき生産するかどうかというTPPの動向も目が離せない。
午後から視察したのは“日通ハイフォンロジスティックセンター”ハイフォン港を輸送拠点として、そのバックヤードをハイフォン最大の物流拠点として整備した。
市的にはディングー工業団地内にあり、主要は港湾ターミナルに5分でアクセス可能となる。同工業団地内にはアジア最大の生産拠点ブリジストンもあり、日通のロジスティック部門3つの倉庫拠点がバックヤードとなる。
 そしてこの日の最後はVSIP(ベトナム・シンガポール工業団地)の視察である。
 このVSIPは、ハノイに隣接している3か所(ビンズン、バクニン、ハイフォン)そして郊外・飛び地型((クワイガイ、ハイズン、グタン)3か所計6か所の団地を構成する。
 それぞれの工業団地が北部ベトナムの港湾や空港と連携して一大生産拠点を形成している。“第2のデトロイト”である。ブリジストン、スズキ、キャノンといった日系の現地法人が生産を行っている。

10月21日(金)
<ダナン港訪問〜ダナン人民委員会表敬訪問〜人民委員会主催晩さん会>

 今回ベトナム訪問のハイライト、本市の友好港のあるダナン市にやってきた。
ダナン空港は日本のODAによって現在突貫工事中。昨日よりハノイ、ハイフォンは乾期に入ったというが、南部ダナンは雨期である。30度は越えている。空港内はエアコンで涼しいが外はムッとする。
 ダナン港は日本のODA援助によって1億ドルが投入され、空港へアクセスする道路整備を含めて港湾整備が進められてきた。そして今、14mの水深をもつ新たな港湾施設の第2期整備が始まっている。
 第1期のダナン港整備によって大型観光船の来航が年100隻まで増加している。一方コンテナ輸送も増大し、年30万TEUまで取扱い量を伸ばす。次の一手、何を目指すか議会としても十分に検討したい。横浜港には定期便が就航しているという。
 10年前ダナンを訪問した時の友人が声を掛けてきた。ル カン ドクさんダナンポート有限会社の副支配人である。私のあの時の挨拶を覚えているのである。
ダナンポート(有)
 ベトナムダナン人民委員長
ベトナムダナン港ドク副支配人

ダナン博物館
10月22日(土)
<ダナン博物館視察>


 100年前に創立されたダナン博物館だけあって、収蔵されているものの文化的歴史的価値は高い。
 しかしながら、説明員が少ない。パンフレット(日本語版)が置かれていない。ダナン市の文化政策の問題であろう。昨日の市人民委員会主催の晩さん会で、越・日友好協会会長が挨拶の中で触れていた。来年の越日文化交流開催に向け、博物館に世界の友好・姉妹都市の展示コーナーを設置していきたいと述べていた。ぜひ充実を期待したい。
 通訳のカン女史が言っていた台湾からの進出企業「フォーモーサ」が有害物資のたれ流しで、今ベトナムでは「第2の水俣病」と言われ、問題になっているという。
 早速日本に戻って調べてみたい。

イオン
10月23日(日)
<ベトナム最終日イオンモール タンフーセラドン店を視察>

 今や国内のイオンは、売れ行きの不振と地元商店街の反発によって厳しい状況を強いられている。一方東南アジアに進出したイオンモールは息を吹き返しつつある。
 ベトナムに4店舗出店しているイオンは日本の大型店出店の草分けである。イオンベトナムのゼネラルマネージャー青野恵三氏に話を聞く。青野氏は、藤井寺店の店長を5年務めて、おととし突然の辞令で開店予定のベトナムイオンの責任者として赴任する。
 イオンの事業戦略は緻密である。出店にあたって地元対策として社会貢献事業を行う。例えば学校建設、奨学金などイオンの姿勢を示す。参入に対しては様々な規制があったという。
 その一つ、行政庁は統一した見解を示さず、その都度この壁は問題などと指摘してくる。
 その2つ、例えば義援金を行うと申請すると必ず赤十字を経由して行えといわれる。しかし使途は全く不明という。
イオン
 イオンの戦略はベトナム国民の消費傾向をしっかり把握していることである。その媒体はフェースブックでの広告である。1回につき72万人から“いいね”が返ってくる。カード会員は2016年度78万人に達した。
 収入の使途をアンケートでとる。1位日用品52%、2位教育費16%、3位貯蓄5.6%何と勤勉な国民であることか。
 イオンのしたたかさと同時に、今日我が国はこの巨大なアジアの消費市場に小売・流通丸抱え参入を始めている。
 今後この取組が大化けするのか、しっかリ見届けたいと思う。

シンガポールITE
10月24日(月)
<シンガポール技能教育学院(Institute of Technical Education)を視察>

 ITEは国の運営機関として2001年に発足した。小学校を卒業した中等教育に進む全体の25%の子どもたちが学んでいる。
 101のコースがあり、子どもたちののびのびした表情にこのコースがうまくいっているなという印象を抱いた。
 とはいえ、質疑応答の中で、最も人気のあるコースはというと航空機整備コース。一方人気のないのは旋盤コースとのこと。ものづくりは子どもにも人
シンガポールITE
気がいまいちかもしれない。問題は小学6年の秋に行う学力テストで101のコースへ振り分けるという。ここで子供の運命が決まってしまうにはいささか賛成しづらい面もある。
 通訳と個人的にやり取りをすると、エリートは中学・高校・大学と進むことになっており、残った子供たちの手に職をつけて社会に送り出すことからこのプログラムは生まれたという。

<シンガポール視察早稲田バイオサイエンスシンガポール研究所>

 シンガポールのバイオポリスは、これからのシンガポールのけん引役となる成長戦略に他ならない。
 シンガポール科学技術庁(A*STAR)長官が金に糸目をつけることなく、優秀な研究者を招致している。11棟の研究棟に7割公的研究機関が入居し、残り3割を民間の企業が入居している。ちなみに我が国では武田薬品・協和発酵など一流企業が入っている。
 そこに何故早稲田大学が2009年に進出したのか。広報担当椿雅行氏に伺うと、もともと早稲田大学理工学部は東京女子医大と提携し、夢のSTAP細胞の研究などに取り組んできた歴史がある。
 今後の方向性は、企業と連携し、がん診断など実用化に期待をもっている。椿雅行氏の説明では、早稲田大学理事会がなかなか予算付けをしてくれないという。研究費の獲得が課題かもしれない。

タカネ電機工場風景
10月25日(火)
<視察7日目、タイに入る。


 商工会議所おすすめ“タカネ電機”視察簑原社長みずからお出迎え>
 4時に起床、5時ホテルを出発し、一路タイに向かう。約2時間のフライトでタイの首都バンコクに到着。専用車でプラチンブリ県に2年前進出した“タカネ電機”を視察する。
 今回の視察に当たり、坂本茂視察団団長と山田長満会頭にお会いした折、ぜひタイに行ったら“タカネ電機”の視察を勧められた。
 午後2時、会社玄関前には簑原利憲社長を先頭に現地従業員らがお出迎え。先日亡くなられたプミポン国王の遺影も飾られている。
 プレゼンテーションが始まる。会社概要と沿革について、話が終わると質疑応答。
簑原社長
1. なぜ当地に進出を決めたのか、税制優遇はあるのか
2. 国および自治体からの支援はあるのか
3. 川崎中小企業者へのメッセージは
4. 川崎市商工会議所に期待するものなどについて話し合われた。
1. 税制的には5年間非課税、5年間課税半分減免
 タカネ電機の主力商品「ワイヤーハーネス」(束線)の供給先であるCanonの生産拠点に近く、立地することによる安定的部品納入することを理由とする。
2. 中国にも蘇州市をはじめ1600人の生産拠点が稼働している。2年前盧溝橋100周年を機に反日運動が盛り上がった時、現地政府が事前パトロールを入れて封じ込めることができた。これは国および自治体支援の一つの例。
3. 中小企業者の中で希望者がいたら、情報の提供、税制の説明はもとより、空いている土地を貸してもいいという。
4. コーディネートしてもらいたい。海外にビジネスチャンスを求める中小企業は市内にも数多くいると思う。

10月26日(水)
<タイのメガバンク カシコン銀行と中小企業連携について懇談を深める>


 川崎市とタイのメガバンク カシコン銀行は一昨年業務連携の協定を結んでいる。
 カシコン銀行には、日本人スタッフが多い。木下俊彦さん(Vice president)、石田洋之さん(Assistant Vice President)、中西直文さん(Consultant For Japanese business)それぞれが第一線で日本から進出企業の相談に乗っている。中西さんは70がらみで日本大手商社出身でコンサルタントにあたっている。石田さんと中西さんは日本の地方銀行からの出向で2〜3年のキャリアである。
 現在カシコン銀行は日本の地方銀行50行と業務提携、特に東京都民銀行からは人事面で出向を受け入れている。
 そして調査部には李gChyl Lee(Vice President)、Chathanathip Ruangjui 両女史が会報作りの為国内のみならずASEAN各国から情報収集に努めている。
 この二人10月31日には川崎市経済労働局を訪問し、来春開催予定の「国際環境展」のプレゼンテーションについての打ち合わせをするという。フットワークの良さに驚かされる。
 そしてこの後、午後から具体的にタイ進出している「ケンラックシステムタイ現地法人」の代表星野翼氏から生々しい話を聞く。
 この現地法人は進出して10ヵ月日系企業と現地企業とをターゲットに悪戦苦闘中であるという。
たとえば、契約書の中身がすり変えられるといった事件が起こり、相談する窓口がわからず、こんな時に川崎市の現地事務所があれば相談できたのにと悔やむ。
 この後話を伺った「バンコク合同事務所」では、どうぞ相談に来てもらいたいといわれる。ケンラックの場合進出して日数も浅くこうした交流の積み重ねが解決策を与えてくれるのではないか。

VITAパーク
10月27日(木)
<ラオス入り、午前には「VITAパーク」
 午後からは「ラオス日本センター」「ラオス国立大学副学長」に面会する>

 最後の訪問国ラオスに入る。ラオスは農業国で、製造業は極めて脆弱で、発展途上国からの脱却が合言葉である。
 ここに今、第3のデトロイトを目指して新たな工業団地「VITAパーク」が出来上がっている。そのコンセプトは徹底してベーシックである。
 ひとつはドーミトリー(宿舎)、ふたつは研修所、このいずれも、ベトナム・タイでは見てこなかった。つまり出来合いの労働力で生産するのではなく、携
日本センター
わる労働力そのものを生産しようというのだ。
 問題となるのは能力の現段階である。つまりタイは高度な熟練の力によって最終工程自動車、電機すべて受け入れられる。
 しかしラオスにはそれだけの能力が不足しているため、半製品の製造工程とならざるをえない。
 これが「発展途上国からの脱却」にほかならない。
 今後2018年の関税障壁の撤廃はタイとラオス両国間でいかなる分業関係を生み出してゆくのか、 [VITAパーク」の取り組みや「ラオス日本センター」が生み出す卒業生がこうしたASEANという枠組みの中でいかなる役割を果たしていくのか興味が絶えない。

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