甦えれ川崎549号 議論が拙速すぎる「水道事業民営化」

甦れ川崎

先の国会ではいわゆる「水道事業民営化法案」がスピード可決して大きな反響を呼びました。私たちの命の源である水道事業の管理運営を営利企業に任せて本当に大丈夫なのか。たくさんの課題や論点があげられていたにもかかわらず余りにも拙速な議論により法案は可決し、これ以降は現在水道事業を所管している県市町に議論の場が移ります。
今週の「甦えれ川崎」週間民主は、水道事業について特集します。

【コンセッション方式とは】
現在水道事業については各県や市町によって、独立採算の企業会計の中で運営されています。これは私たちが支払う水道料金を基本にして事業が成り立つというものです。そして、この度の水道法改正では施設などの所有権を自治体に残したまま、運営権を民間事業者に設定するコンセッション方式という方法が可能になり、自治体が契約に踏み切れば、水道事業の大部分を民間に任せる事となります。
しかしながら世界的にみると水道事業が一旦民営化などされたものの、水道料金の値上げや、水質やサービスの低下により再公営化に戻る事例があとを絶たず、ここ数年においても250件程度の事例が確認されたという報告があります。

【「水道民営化」をめぐる課題】
現在使われている水道管の多くは1960年代から70年代に設置されたもので、水道管の維持管理に毎年大変な予算が必要とされています。国は水道法の改正により民間の力を導入してコスト削減に繋げていくという事ですが、民間運営となれば採算がとれない地域のサービスがきられないのか、災害時などの応急給水や、大幅な修繕が必要な時の対応が可能なのか、こういった諸課題が自治体との契約に委ねられており、現状不透明なものとなっています。
また世界では多くの再公営化事例があるにもかかわらず法案審査にあたって政府は3つの事例しか調査していない事が明らかになりました。併せて水道事業などの民営化を推進する内閣府民間資金等活用事業推進室で、水メジャーと呼ばれる仏ヴェオリア社からの出向職員が勤務している事も明らかになり受託者ありきの事業者選定にならないのか疑問を残したままになっています。

【まとめ】
私たちのライフラインとも言える水道事業について、営利目的となる民間事業者や海外の事業者に任せて事業運営上・安全保障上本当に大丈夫なのか、国の在り方が問われる法律です。国会では丁寧な議論をすべきでした。今後、私たちの身近な自治体での議論へと移ってきますが、しっかりと民意を反映した結果になるように努めていきます!

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