甦えれ川崎552号 統計不正問題国民目線の対応を求める

甦れ川崎

厚生労働省による「毎月勤労統計調査」の不正に端を発して、複数の統計調査に問題があることが明らかになり問題になっています。不正を把握しながらも事実を隠蔽するといった違法的な対応の事実もわかってきました。政府は速やかに事実を調査しその結果を国民に情報公開するべきであるにもかかわらず、関係者への聴き取りの手法や、答弁封じともとれる配属変更によって情報公開を妨げるような対応を行っています。昨年は森友・加計問題を始めとして政府の不誠実な対応が何度も指摘されてきましたが正しい情報公開がなければ対策もできません。
今週の「甦えれ川崎」週間民主はいわゆる統計不正問題を特集します。

<毎月勤労統計調査の問題について>

毎月勤労統計は公的統計の根幹をなす55ある基幹統計の1つで、雇用、給与及び労働時間について全国の変動を明らかにするための調査として実施されています。今回の問題では、従業員500人以上の事業所は全数調査すると定められているにもかかわらず、2004年から東京都分について対象とすべき事業所の約3分の1しか調べない抽出調査に変更していた事が明らかになりました。

そして04年から17年までは抽出した数値を全数に近づける復元処理をせず、その後18年1月分の調査から不正な東京都分のデータを本来の全数調査に近づける補正を始めたため①雇用保険や労災保険などで約600億円の支払い不足が発生し約2000万人に影響が出ていること。②補正した18年は、賃金伸び率を補正していない17年の数値と比較したため、本来より高い伸び率が出たことによるアベノミクスの粉飾が指摘される事態となりました。そしてこの対応のために政府は2019年度予算案の閣議決定のやり直しを余儀なくされました。

また厚労省はこうした事態究明のため特別監察委員会を活用して、延べ69人から聴き取り調査したことになっていましたが、その後の質疑によって実数は37人だったことが判明しました。併せて身内である厚労省幹部同席のもと、厚労省職員がこのヒアリングを行っていたことが明らかになり身内によるお手盛り調査とも指摘されています。

 

<その他の統計調査不正と対応>

この毎月勤労統計の他にも賃金統計や小売物価統計において不適切な調査が発覚しましたが、政府は統計政策担当の政策統括官を官房付に異動させたことにより、事実を知る担当者の国会での証言が難しくなっています。

一連の不正については、なぜこのような不正が行われ隠蔽をしたのか、誰の関与によるものなのかなど明らかにして情報公開をしなければ再発防止の対策ができません。またこれらの統計を基にした政策決定や質疑が、地方議会でも行われている可能性も否めません。政府は速やかに国民が納得できる調査をして真実を明らかにするべきです。現在進行形の問題でありますので、統計不正問題に対する今後の政府の対応に国民目線でチェックをしていきます。

 

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