甦えれ川崎583号<貧困と食品ロスをなくす!>

「フードバンクかわさき」視察
神奈川県会議員 栄居まなぶ
立憲民主党・民権クラブ県議団は、横浜市金沢区にある公益社団法人「フードバンクかながわ」の取組を視察しました。
フードバンク活動とは、食品企業の製造工程で発生する規格外品などや、個人の余剰分の食料を引き取り、食べものに困っている施設や人に無料で提供する活動です。まだ食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう食品(食品ロス)を削減するため、こうした取組が有効であると言われています。
今週の「甦えれ川崎」では全国で初めて公益社団法人を取得したフードバンクかながわの活動を特集します。
<フードバンク活動が広がる背景>
フードバンク活動は全国的に広がりを見せており、多くの団体が活動しています。こうした背景として「貧困」と「食品ロス」という2つの要因があります。
初めに「貧困」について、日本の貧困の現状はOECD加盟37か国の中でワースト7(相対的貧困率)という調査があり、特に子どもがいる現役世帯のうち大人が一人の世帯(ひとり親世帯)においては貧困率58.7%と、OECD加盟国中最も深刻な状況となっています。そして、こうした家庭の貧困が次の世代に連鎖する「貧困の連鎖」が社会問題になっています。このような貧困問題の解決策として、各地域におけるフードバンクから食品提供を受ける「子ども食堂」などの支援策が広がっています。
次に「食品ロス」解消に向けた取組については、日本の食品ロスが643万トンに達することが農水省・環境省の発表により明らかになりました。また横浜市が、家庭から出される食品ロスの調査を実施した結果、家庭ごみ全体の33.5%が「生ごみ」に当たり、「生ごみ」の中の58%が食品ロス(まだ食べられる食材)に相当することがわかりました。こうした国内の食品ロスの現状に鑑み、国では「食品ロス削減推進法」が今年10月に施行され、これによって政府や自治体と事業者の連携が深まり、対策が進むことが期待されています。
<フードバンクかながわの設立に期待>
このような貧困と食品ロスの課題解決に向けて「かながわ勤労者ボランティアネットワーク」や「神奈川県生活協同組合連合会」などが中心となり、2018年に「公益社団法人フードバンクかながわ」が設立され、企業・行政・個人から寄贈された食品を、要請のあった県内の団体に分配しています。そのための食品受け渡し中継拠点も現在では県内10ヶ所に整備されてきました。
今後の課題としては市民の寄付によって運営されている団体ですので、行政としてもフードバンク活動への理解を深める取組を進めて、運営に必要な寄付や食品の寄贈を安定化させていくことが重要です。フードバンク活動に対する県や市の支援について、これからもしっかりと議論していきます。